【サープラスマネジメント型ALM】と【流失リスク】

常務理事   上田進朗

 

 

またまた、同期入社の仲間の歓談の席での話です。

みんな60歳を過ぎて、大半が生命保険人としての第一戦を退いて久しいのに、未だに業界への思いを失っていない。

この日は、生命保険会社の国債運用が話題になりました。

本欄でも高松常務理事が解説されている【サープラスマネジメント型ALM】による国債運用についてです。

復習しますと、保険会社の資産・負債を時価評価して『サープラス』の極大化を目指す管理手法で、結果として金利上昇時(国債価格の低下局面時)にデュレーション(平均回収期間)を長期化させるというもの。

『ちょっとまて、それは生命保険契約が超長期であるということが前提だろう。本当に契約は全部継続していたか?』、低料率化や転換契約の時代に業績を伸ばしていった者が言う。

『なに、3年間ほども継続したご契約はそう簡単に途中解約には至らないものだよ。』と別の者が言う。

『いや、貯蓄性の強い【個人年金】や銀行窓販等の中心商品【一時払い商品】は金利に影響される商品だ。お前の経験には当てはまらない。

金利上昇局面では、高金利商品への乗り換え解約が発生し資産の現金化が必要となる。つまり価格の低下した国債を泣く泣く売らなければならないことになる。』と別の者が反論する。

侃々諤々の一夜となりました。

後日、現役の後輩にこの点を聞いてみると、

『当然、そうした【流失リスク】を無視したりしていません。リスクの予測・計測を怠らず、その局面で国債を売却しなくても良いように別の資産の手当や、対応する商品の販売規制など対策も含めてのALM、資産運用ですよ。』との答えが帰ってきました。

繰り返しますが、保険会社の使命はお客様から保険料をお預かりして所定の保険金を確実にお支払いすることで、保険という制度をどんな局面でも長期間、堅実・確実に継続することです。

最近マスコミでは【国債の暴落リスク】が囃したてられています。

しかし、国債を総合的に凌駕する投資適格対象が無いこともまた事実です。

年寄りたちの心配は尽きません。後輩諸君がんばれ!

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