建物と居住者の高齢化が同時進行している既存マンション

常務理事 横山修三

 

 

 保険業界とは直接には関係ない一口コラムです。

 

  マンション管理組合の運営にアドバイスしているマンション管理士として、マンションが直面している課題に触れさせていただきました。

 

 マンションのストック総数は約571万戸(平成22年末時点、国土交通省推計)、国民の1割以上(約1,400万人)がマンションに居住しています。東京都では約4分の1、神奈川県では約2割、大阪府や京都府では約2割弱が居住し、大都市では主要な居住形態の一つとなっています。

 しかし、マンションでは今2つの大きな課題に直面しています。

 まずは建物の高齢化=老朽化です。新築後30年を超えた(昭和55年以前新築)マンションが平成23年には106万戸となっており、10年後には173万戸、20年後には406万戸と増加していきます。昭和50年代までに新築された建物が、一般的建物寿命60年を超えることになります。配管や給水設備の劣化、建物の老朽化への適切な対応が急がれています。

 そして、居住者の高齢化です。国土交通省の調査では、昭和45年以前建設のマンションで、60歳以上のみの世帯数の割合が50.3%と過半数となり、昭和46~55年建設で43.7%、昭和56~平成2年で30.0%、平成3年以降で17.0%が60歳以上のみの世帯となっています。人口の超高齢化に伴う居住者の高齢化進行は、マンションの管理組合役員就任の忌避、一方、特定の高齢者への負担偏重、管理組合総会への出席数低下など、管理の形骸化が進行しています。管理組合運営の第三者への委託

を含めて、高齢化に適応した管理対策の検討が求められています。高齢化による独居老人が増加していることも、安否確認など管理組合として対応が必要となっています。

 

 マンションにお住いの皆様。ご自分のマンションの近い将来の課題として見つめて頂き、積極的に管理組合活動に参加してください。ご自分のマンションの資産価値を守ることにつながります。

 

以上

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