学会設立60周年記念事業を終えて

慶應義塾保険学会理事長

堀田一吉

 

  慶應義塾保険学会は、去る119日、学会設立60周年記念事業として、「日本の保険業 過去、現在、そして未来」と題した記念講演会を開催した。土曜日の午後という時間であるにもかかわらず、300人を超える参加者があり、大変に盛況であった。

 講師には、ニッセイ基礎研究所の野呂順一社長と、損保ジャパン総合研究所の百瀬剛社長(当時)のお二人にお願いした。いずれも、我が国を代表する生損保シンクタンクのトップとして、多方面でご活躍されている方々である。講演内容も、今回のテーマにふさわしい非常に充実したもので、参加者からも大いに好評を博したのであった(なお講演内容は、「保険研究」65集(8月末発行)掲載予定)。

 お二人の講演を聞いていて改めて痛感したのは、日本の保険業界がいま大きな転換期を迎えていることである。国内では、人口が減少するという過去に経験しなかったような環境に直面している。他方、現在TPP参加問題が激しく議論されている中で、本格的に訪れるグローバル化時代の到来に、保険業はいかに対処すべきかが問われている。保険業界が克服すべき課題は、広範で根深く存在している。しかし、こうした環境変化の時代こそ、イノベーションの契機として、保険業界は前向きに捉えるべきであろう。

 60年といえば、人間でいえば「還暦」であり、生まれた干支にもどる年である。「産学協同」を理念として設立された慶應義塾保険学会であるが、この記念すべき節目の年を迎えて、われわれは、新たな気持ちで、いま一度、学会理念を顧みる機会としたいと思う。そして、会員各位のご支援ご協力のもと、社会的使命を果たすべく、これからも前進をしたいと考えている。

 皆様、引き続き、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

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