デジタルなものから温かいサービスへ

第一生命保険株式会社

                   野口 直秀

 

 

  昨年10月の本欄で、韓国・教保生命の元氏が興味深いコラムを寄せている。

  韓国では、国民一人一人に住民番号が付与されており、保険加入者の情報が業界のデータベースに蓄積され、保険会社の様々な業務で有効活用されているとのことである。氏名や生年月日で名寄せする実務が定着している日本では、驚くほど先進的な取組みに感じられる。

  そんな日本でも、先月、番号法案が国会に上程された。法案が成立すれば、2016年から、税や社会保障等の公的分野で国民に付された番号が利用されることになる。加えて、「国民の利便性の向上に資する分野」については、法施行後3年を目途に利用範囲の拡大を検討するとのことである。

  さて、番号制度において、保険はどのように位置づけられるだろうか。民間保険は公的保障を補完する役割として、国民生活の安定や利便に多少なりとも貢献させていただいており、私としては公的分野の延長として捉えたい。この感覚は、2年前の東日本大震災で、保険金を一日も早く被災者の生活再建に役立てていただきたいという想いで、被災地をかけずりまわってお客さまの安否確認等の対応を行った保険会社の社員は、皆、体で実感したことだと思う。

  番号は数字に過ぎないし、デジタルなものである。しかし、番号を活用することで、お客さまに寄り添った、親切で温かみのあるサービスをどのように実現できるのか。そして、それは国民にとってどのようなメリットがあるのか。番号制度を前にして、我々保険業界は創造力を問われ、また国民に議論のための材料を提供することが求められている。そのためには、冒頭で紹介した番号先進国の韓国を始め、我々の学ぶべき点はまだまだ多い。

 

以上

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