保険の損得

 

常務理事  上田進朗

 

   巷では『保険の損得』情報であふれています。出版界でもネットでも『保険に騙されない』『良い保険悪い保険』『得する保険損する保険』などの表題で『保険の損得』がベースに語られています

  『保険』に対する一つの見方でることは間違いありませんが、長年保険に携わってきた者にとって、『保険』を正しく理解した上での議論であると言い切れないものが多いと感るのも事実であります

  当学会前理事長庭田範秋博士の1993年1月の最終講義『保険・保障で損する者と得する者』を思い出します。

   先生は、『給付・反対給付均等の原則』、『収支相等の原則』をキーワードに、『しばしば、保険・保障で損得を論ずる人がいるが、保険原理に従っている限り、本来損得論は成立しないはずである。保険・保障において、存在するのは、利得ではなくて受益であり、損失ではなくて譲渡である。』と説かれました。

  人間社会の営みですから、完全なものではなく数々の矛盾も存在すると思いますが、少なくとも『保険会社が得する』とか『加入者が損する』といった観点で論ずるのは、『保険』を理解していればできないことだと思います。

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