「コース別雇用管理」から「個の尊重」

明治安田生命保険相互会社
 広報部長 森本律子

 

 

 1985年に制定・19864月に施行された「均等法」を受けて、大手金融機関を中心に「男女別雇用管理」から「コース別雇用管理」への衣替えが始まってから30年以上が経過しました。当社もまさにその流れに乗っていた会社のひとつです。

 

 1986年の夏、大学4年生として就職活動をしていた私は、そこまで詳細な「オトナの事情」を承知していたわけではありませんでしたが、サラリーマン家庭で転居・転校には慣れていたことから、「面白い仕事がしたい」「転居転勤?別に構いませんけど」というスタンスで総合職を志望。「結婚したらどうするか?」という当時あたりまえ?だった質問には「当然仕事は続けます。それに理解のある伴侶を見つけます」と何の躊躇もなく答え、「とりあえず一般職でしか採用しない、入社後に早期のコース変更は可能」という会社の内定は丁重にお断りして当社に入社しました(もちろん、金融、とくに保険業界を志望した理由は別にちゃんとありますが)。

 

 気がつけば勤続32年。その間、人事・企画や営業所長などさまざまな職務を経験させてもらい、夫に新幹線通勤をしてもらったりしながら現在に至っています。「1期生」としては何をやっても「初めてのケース」ではありましたが、良き上司・先輩・同僚に恵まれ、女性であることのハンデ、を感じることはあまりありませんでした。「女性総合職」(転勤可能性あり)という存在も、2010年前後にやっと在籍100名を超えてからは「当たり前」の存在になってきたように思います。

 

 一方で、当初の「総合職/一般職」という2区分から、「転勤なしの総合職(特定総合職、地域限定総合職など)」という中間的なコースができたり、世間では一般職を廃止(=コース別雇用管理を廃止)する動きがあったりして、当社でも試行錯誤の結果、20174月にはとうとう「総合職」一本となりました。「全国型/地域型」の区分はありますが、どこの職場でも男女の別なく仕事をする人が増え、女性活躍推進が(やっと)確実に進んできている実感を持っています。ただ、「全国型」の後輩には、ワークライフバランスを実現することを前提としながらも、「転居転勤OK」と答えて入社してきた意気込みを忘れずにいて欲しいとは思っています。

 

 現在でも、厚生労働省のホームページには「コース別」が実質的に「男女別」とならないように、という留意事項が掲載されており、均等法対応を形式的に行なうのに便利な「コース別雇用管理」、という図式はまだあるのかもしれません。保険商品においても「リスク細分化」の流れがあるなかで、働き方についても「男性/女性」「日本人/外国人」などの単純な分類ではなく、個人の特性を尊重した「ダイバーシティ&インクルージョン」の動きがますます前進していくことを願ってやみません。

 

以上

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