復興支援プロジェクトと防災教育支援体験で学んだもの

  ~ 災害対応力は人と人の繋がりで強化する~

 

早稲田大学 政治経済学部4年  

早稲田大学 平山郁夫記念ボランティアセンター

気仙沼チーム 根岸紗友花

 

 

<復興支援プロジェクト活動で学んだこと>

 

 今この瞬間に、大きな自然災害が発生したら、私はどんな行動を咄嗟(とっさ)にとれるだろうか。自分の命と大切な人を守るために、どんな行動をとるべきだろうか。最近、自分自身に問いかけるようになりました。

 

 私は早稲田大学のボランティアセンターに所属する復興支援プロジェクト「早稲田大学気仙沼チーム」にて活動を続けてきました。

 

 東日本大震災発生以降、宮城県気仙沼市に継続的に通い、仮設住宅訪問や気仙沼でのイベント運営の補助、小中高校生への学習支援、東京で気仙沼・東北の魅力を伝えるPR活動などを行っております。

 

 被災地の惨状を「他人ごと」と考えている多くの人々に、災害は誰にでも「自分のこと」であると考えてもらえるよう「支援の輪を広げたい」。「気仙沼のために何かしたい」。そんな想いが私たちの活動の原点です。

 

 仮設住宅に住む住民の方々を初め、現地の方々に震災発生時のお話を聞く機会があります。一瞬で多くの命を失った津波の恐ろしさを実感すると共に、岩手県大船渡市立越喜来小学校で事前に設置していた津波避難用の非常通路を使って全ての児童が助かった例や、岩手県釜石市の沿岸部にある9つの小中学校で生徒の避難率がほぼ100%だった「釜石の奇跡」のように平素からの備えと訓練が功を奏した例に感心させられることも度々ありました。

 

 親しくなった気仙沼の方からは、「東京で災害があったときには自分を守れるようにね。」と言っていただけます。気仙沼で見聞きしたことを、東京をはじめとする多くの人々に伝えていくことが次のステップだと考えています。

 

<東京新宿での防災教育支援活動>

 

 そんな折に、早稲田大学のある新宿区・戸塚地区で防災アドバイサーをされている損保会社OBの児島正様と出会い、戸塚地区の小学校と防災授業で連携する機会を複数に渡って設けて頂きました。20167月より、戸塚第一小学校、戸塚第二小学校、戸塚第三小学校での「防災まち歩き」や「防災授業」に参加させて頂いています。

 

 現在私は早稲田近辺に下宿していますが、それらの授業を通じて、いざ災害が起きた時にどこに逃げればいいか、何を第一優先で行うべきかといった基本的なことも分かっていないことを思い知らされました。普段見馴れている高田馬場駅周辺を防災という観点から子ども達と歩き、災害が起きたときの対処法について、子ども達にも分かりやすい伝え方を検討するうちに、自分自身が意識的に防災について考えるようになりました。

 

 さらに児島様には、阪神淡路大震災の時、神戸で大手損保の現地トップとして危機管理の陣頭指揮をとられた瀬尾征男様や新宿の戸塚地区「町内会」の方々といった、身近で頼りになる先輩方と繋げて頂きました。

 

<防災の基本とこれからの取り組み>

 

 私が生きているうちに、人生を変えるような大きな地震、災害が必ず起こりうると思っています。地元小学校・地域の皆様との連携を通して今重要だと感じていることは以下の3点です。

 

 第一に、自分の命を自分で守る術を身につけること。災害発生時の逃げ方・手段を知っておくこと、情報を得る手段を確保しておくこと、そしていざという時に反射的に動けるように身体に染みこませていくことが重要です。そのためには、学校・家庭をはじめとし、幼少期から防災について学ぶ・接する機会を増やしていく必要があると思います。

 

 第二に、地域住民や周囲の人との助け合いを忘れないこと。

 

 平時から地域住民とのご縁や人間関係を大切にし、緊急時には様子を気遣える・命を助けあえる関係になりたいと思っています。

 

 第三に、身近な人へ伝えていくこと。

 

 普段から行える防災・減災に役立つ備えや災害を補償する保険について、家族や友人と意識的に話し合う時間を設けます。首都圏に住む人々の災害に対する危機感や防災意識を高める方法を模索して行きたいです。

 

 4月からは一般企業で働きますが、会社という新たなコミュニテイの人々も巻き込んで、防災意識を高めていきたいと考えています。                

 

 以上

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