産經新聞社 元編集委員
小林隆太郎
最近、テレビを見ていると様々なコマーシャル(CM)がやたらと目に付く。自動車をはじめ、薬や食品など生活の身の回り品から家や不動産など人生上の重要品までありとあらゆるものがCMで流れる。そうしたなかで気になったのが歯磨きなどの歯の健康に関する商品CMだ。
よくいわれるように、歯の病気は万病のもとだ。歯槽膿漏に歯周病にかかるといずれ体のあちこちに不具合が生じる。歯の健康向けCMもそのことを訴えている。日常の習慣として朝起きて歯を磨く。現代人は毎日三食後に磨く人も増えている。それは口臭対策だけではなく体の健康までを意識する人が増えてきたからだろう。歯磨き関係のCM増加もそうしたことをにらんでいる。
「将来の健康という安心」は保険にも通じるものがある。絡めていえば、将来の健康への意識を強く持つ人は、保険料を安く契約してもいいのではないか。現在歯が健康で、これからも「歯は丈夫」であろうとする人には保険を優遇する考え方があってもいいのではないか。高齢化社会が現実のものになったいま、健康寿命への関心、望みが強まっている。一方で「医療」や「介護」などに不安がつのるが、それへの「安心」が保険だとすれば、若いころから健康意識が強く、生活習慣や運動、ストレスを溜めない生き方をする人にはそれに見合う保険のあり方があってしかるべきではなかろうか。