就職活動に思う

第一生命保険株式会社
野口  直秀

 

 

    最近、電車などで就職活動をしている学生によく遭遇する。揃いのリクルートスーツに身を包み、真剣な表情で会社案内などを読んでいる姿を見るにつけ、何故かこちらが緊張してしまう。今年は正式な選考活動は8月からだそうで、まだ落ち着かない時期が続くのだろうと思う。

 

    学生に就職活動のコツを聞かれることもあるが、しどろもどろの説明で運良く会社に滑り込んだ身としては適切なアドバイスも難しい。実際、当時は会社案内にあった「相互扶助の精神」というのに何となく惹かれて、社会に貢献したいと曖昧な説明に終始したように思う。

 

    期待損失コストを多数集め、大数の法則によって個々のリスクを軽減するという保険制度には何とも言えない魅力がある。個々の契約は私契約だが、それらを束ねて組成すると、保険集団の中で助け合いの機能を持ち、社会経済の安定的な発展に必要不可欠なものとなる。

 

    今となれば学生当時に何となく感じた保険の魅力について、もう少しマシな説明ができるのだろう。しかし、今も昔も、社会経験の少ない学生が、将来を見通して業界や会社を本当に深掘りして理解するのは至難の技なのだと思う。

 

    業績や福利厚生など目移りする諸条件は一旦横に置き、まずは、各業界なり各社の事業そのものに対し、素直に共感する気持ちを持てるかどうかが大事なのではないか。それはうまく説明できるかといったテクニックの問題ではなく、人間性や想いであり、取り繕えるものでもない。

 

    そして、保険業界に身を置く者としては、出来るだけたくさんの学生に保険に興味や共感を持ってもらえると望外の喜びである。保険は、経済が成熟した今日においても、役割を徐々に変えながら輝き続けていると思う。

 

    就職活動をする学生を見ながら、そんなことを思った。将来を担う学生の皆様に熱いエールを送りたい。

ページの上部へ戻る