高経年マンションの課題

一般社団法人神奈川県マンション管理士会

 副会長 横山修三

 

 

 マンション管理組合の運営にアドバイスしているマンション管理士として、高経年マンションが直面している課題について触れさせていただきます。

 

 マンションのストック総数は約601万戸(平成25年末時点、国土交通省推計)、国民の1割以上(約1,480万人)がマンションに居住しています。大都市では主要な居住形態の一つとなっています。

 

 新築マンションは毎年供給されていますので、マンションのストック数は年々増加するとともに、建物の築年数は毎年確実に1年ずつ増えています。新築後25年を超えた高経年マンション(昭和63年以前新築)は134万戸となっています。

 建物の老朽化による配管や給水設備の劣化により漏水が発生した場合、まず、その原因を調査し(通常は管理組合が加入している保険で調査費用を負担)、原因箇所が共用部分の場合は管理組合、専有部分の場合は当該箇所の所有者の責任で修理します。

 

 共用部分には管理組合が保険を付保していることが普通ですが、階下の戸室の天井、壁、家財などを汚損した場合には、専有部分の所有者が個人賠償責任保険に加入している場合では保険金は出ますが、全員が加入しているとは限らないため、トラブルを未然に防ぐために、管理組合が個人賠償部分を含めて包括的に保険に加入しているケースが見られます。専有部分の所有者が個人賠償保険に加入していない場合で、管理組合も個人賠償部分を含めた保険に加入していない場合は、原因者が修理することになります。

 

 共用部分に付保している保険(マンション総合保険など会社によって保険商品の名前は異なります。)は、高経年マンションの増加による保険金支払いの増加対応のため、保険の更新時に築年数別保険料体系を採用する例や、築年数がかなり経過したマンションからの新規申し込みは受け付けないなど、高経年のマンション管理組合からの保険に関する相談事例が増えています。

 

 区分所有者及び管理組合は、損害保険会社にお世話になっていますが、区分所有者の高齢化で年金収入だけの区分所有者が増えて、毎月管理組合に支払う管理費及び修繕積立金の改訂が困難で、保険料の引き上げに対応できない高経年マンションの管理組合が増えています。

 

 高経年マンションの増加に対応した保険商品の開発をぜひともお願いする次第です。

 以上

 

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