保険は性善説が前提

 産經新聞社 元編集委員 小林隆太郎

 

 保険金犯罪という言葉を新聞などで見るようになった。保険金殺人などは古くからあるが、「オレオレ詐欺」など特殊詐欺の一環としての社会現象のように見受けられる。新聞報道などによると、ゴルフ保険詐欺や保険金殺人が話題になっている。

 

 ゴルフ保険は、プロゴルファーがホールインワン保険に入っていて、プレーのパートナーやキャディーを巻き込んで詐欺を働いていたというもので、一般的には、ゴルファー保険では、ホールインワンやアルバトロス達成時の費用補償特約は達成率の高いプロゴルファーには付けず、アマチュアゴルファーのみを対象とされていたが、その抜け道を探って詐欺を働いていた。

 

 また、京都市でシルバー婚活を利用して新しい夫を殺害して保険金殺人を図った筧千佐子容疑者が逮捕されたが、推理小説を思わせる手口は改めて保険金犯罪の“歴史”をうかがわせるものだった。

 

 どうして保険金犯罪は後を絶たないのだろうか。人間の犯罪心理学にまで踏み込んで解析しなくてはならないが、要は保険契約を悪用して金銭を搾取することであり、保険契約の当該会社を騙して不正な金銭を取得する行為である。当然ながら不正が判明すれば、社会的な契約の不正履行であるわけだから、保険会社は保険金を支払う義務は生じない。

 

 ここで思うのは、やはり「保険とは何か」ということで、「保険契約は性善説を前提にして成り立つ」という“原則”だ。保険会社にとっては悪用されるのはリスクともいえるが、“悪意”のある人がなくならない限り、保険金犯罪はなくならないのだろう。

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