炎の津波から子供たちを守るために~阪神・淡路大震災から20周年に向けて~

                      損保業界OBとして 児島 正

(元損保ジャパン日本興亜勤務)

 

新宿で首都直下地震が起きたときの最大の脅威が地震火災です。東京消防庁の延焼シュミレーショによると新宿区内の延焼危険に高い地域に隣接する小学校は、数時間後に火の海に囲まれることになります。(消防車が全く来ない最悪の事態が前提) 新宿区管内の32台の消防ポンプ車が、すべての火災現場に駆け付けることは不可能です。

山手線と環状7号線の間を中心に木造密集市街地が広がっており、新宿でも広い表通りを一歩中に入れば、同じです。木造の家が一軒燃えると10メートル四方に炎が伸びます。その火災が次々に合流して大きな火災になります。高さ20から30メートルの炎が、まるで津波のようにわたしたちを襲うので、炎の津波と呼んでいます。

いま、来年の1・17に向けて、「地震火災の怖さ」と「身の守り方」を楽しくわかりやすく学んでもらうため、園児・低学年用向けの紙芝居を製作中です。HPからダウンロードを可能にして、クレジットを入れてもらえば、非営利であれば、自由に無料で使っていただくことを考えています。この紙芝居で、炎の津波からこどもたちの命を守る運動が、地域全体に広がればと願っています。

こどもたちは、炎の津波が起きた場合、小学校から早めに広い道路を通って広域避難場所へ避難しなければなりません。3・11と同様に帰宅する人・車で道路が大渋滞していれば、今度は地域住民も逃げてきて、道路は至るところで大混乱します。こどもたちは逃げ場を失います。

炎だけでなく、輻射熱、熱い煙、火の粉などが、道路にいる群衆・車を襲う関東大震災の悪夢が再来するとの識者の指摘もあります。

損保業界の方々に、こどもたちを守り、役職員のいのちを守るための率先垂範の訓練をお願いします。本社ビル所在地の所轄消防署の方と一緒に、本社ビル周辺及び帰宅ルート沿いの延焼危険が高い地域を目で見て歩いてください。そして、東京消防庁の延焼シュミレーショを見て、その説明に耳を傾けてください。阪神の震度6強以上の揺れを体験しています。阪神クラスの揺れが新宿を襲えば、3・11と違い建物倒壊などにより街全体が一瞬にしてメチャメチャの修羅場となります。こどもたちを地震火災、そして社会的なパニックや混乱からどう守るか社会全体で考えてほしいと期待しています。

本社ビル防災訓練で、情報が途絶した場合、延焼火災などの最悪の事態を想定して、被害の全容がわかるまで役職員が留まる勇気を持つことと、家庭での事前の備えの大切さを示す姿を広く社会へ発信していただければと切に願っています。

 

 


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