「プラチナ社会の光と影」

                    産經新聞社 編集委員  小林隆太郎

   

  少子高齢化社会が本格化してきた。といっても社会的に目立つのは高齢化の方で、団塊の世代が定年を迎えて60、65歳をドドッと超えて、夫婦で街に出かけ、山など自然に親しむ行動に打って出ている。元気なシニア世代が社会的に活動することを「プラチナ社会」と呼び、高齢化社会のプラスの側面を指摘するエコノミストが増えている。
  三菱総研では「プラチナ社会の到来」といい、「高次の欲求である『つながり』『認め合う』『自己実現』を求めるシニアが増加する」と指摘している。経済的にも、これらを後押しするシニアマーケットも創出され拡大し、それが企業の設備投資や若者の雇用にも結びつき、国内消費の底上げにもつながる。
  高齢化社会をプラス思考でみれば、確かに「プラチナ」といってもいいかもしれない。 問題は〝元気〟〝活動的〟というキーワードだ。そこで最近、気になるのが「自動車保険」のCMだ。「おとなの保険」とかいって、シニアになればそれだけ運転量が減るから、それに見合った保険料でとPRしている。しかし、実際のシニアの行動力は現役時代に劣らないもので、時間的な余裕がある分、増える人もいるくらいだ。

 しかし、行動力はあっても体の老化は確実に進むから、視力や反射神経などが衰え、それが事故につながりやすくなる。保険会社にしてみればビジネスとしては負荷の多いものになる。

   「プラチナ社会」にも光と影がある。(了)

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