産經新聞社 元編集委員
小林隆太郎
相変わらず「特殊詐欺」が繰り返されている。ただ、正直言って驚くのは、その被害額である。一人の“老人”で1千万以上が持ち去られている。日本の高齢者は家の中にそんな高額な現金を保有しているのかと思うと複雑な気分になる。それはさておき、こうした特殊詐欺には“防衛策”があるという。それはすぐに“相談”だといい、電話などがかかってきたら、家族でも親族でもいいから誰かに内容を相談できる人が身近にいることが重要だという。
これを保険の概念でいえば、「自助」「共助」「公助」で理解できないだろうか。自助は自己責任で自ら対応すること、できること。また共助は家族や地域社会の人たちなど、公助は警察など公的機関の対応が入ることではなかろうか。何も無理に保険の“概念”に当てはめる必要はないが、保険の社会的な防衛策のあり方を考えれば、「共助」は有益である。
ビジネスモデルとしていうならば、こうしたパターンは訪問販売のビジネスだろう。家庭を訪問し「何かありませんか」で終わらせるのではなく、一歩踏み込んで「声を掛け合う」運動。保険はそんな時代を迎えているのかもしれない。