慶應義塾保険学会理事長
堀田一吉
新年を迎えるにあたり、慶應義塾保険学会の会員の皆様に謹んでご挨拶申し上げます。平素より学会活動に温かいご理解と多大なるご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。学会関係者の皆様のご協力によって、研究会や学会誌の発行をはじめとする諸活動を継続・発展させることができておりますことを、あらためて感謝申し上げます。
現在、わが国を取り巻く社会経済環境は大きな転換期にあります。人口減少と少子高齢社会の進行、気候変動に伴う自然災害リスクの増大、デジタル化やAIの急速な進展、サイバーリスクの顕在化など、現代社会が向き合うべき課題は質量ともに変化拡大しています。さらに、リスクの個別化が進む一方で、社会的連帯の重要性が再確認されるという、緊張関係をはらんだ現実が広がっています。現代リスクにおいて自己責任と相互扶助の関係をいかに再構築するかという根源的な問いが、保険制度のみならず保険学そのものに突きつけられています。
保険は、不確実性の時代における安心の基盤であるとともに、相互扶助にもとづく社会的制度です。だからこそ、保険研究には数理・制度・経営といった専門領域の深化に加え、公共性や倫理性に対する幅広い視野が求められます。社会に存在する社会課題について保険を通じてどのように解決するかという問題は、単なる技術論にとどまらず、社会の在り方そのものに関わるテーマです。
慶應義塾保険学会は、産学協同の理念の下で、学術研究の深化と実務との建設的な対話を通じて、社会課題に応答する「開かれた知の共同体」であり続けたいと、私は考えています。会員各位の専門性や立場の違いを尊重しつつ、互いに学び合い、新しい視点や価値を創り出す場でありたいと思います。また、若手研究者や学生の育成と活躍の機会を広げることも、当学会の重要な使命と言えます。次世代に知的土壌を引き継ぐことは、私たちに課せられた責任です。
本年も、研究会や学会誌など既存の活動をさらに充実させるとともに、産学官の連携を一層深め、実務との往還の中で保険学の新しい地平を切り拓いてまいりたいと存じます。世代と専門領域を超えたネットワークを育み、産学協同の結節点としての役割を果たしていく所存です。
会員の皆様のご健勝とご活躍を心より祈念申し上げますとともに、本年も引き続きご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。









