「保険研究総目次」を刊行して

慶應義塾保険学会理事長 

堀田一吉

 

 

   新年明けましておめでとうございます。昨年も、学会関係者各位のご支援ご協力のおかげで、滞りなく学会運営を進めることができました。改めまして心より深く感謝申し上げます。

 

   そうした中で、昨年は、「保険研究」第70集を発行しました。これを記念して、昨年10月に、創刊号第1集から最新刊第70集までの「保険研究総目次」を刊行しました。1952(昭和27)年に慶應義塾保険学会が創設されて、同年、「保険研究」第1集が発刊されました。以来、途中、年二回発刊の年も含めて、一年たりとも絶えることなく、毎年確実に発行を続けてまいりました。このたび編集作業を行うにあたり、全ての論文を振り返ってみましたが、改めて保険学会の歴史の積み重ねを深く感じることができました。そこで論じられてきたテーマは、保険を取り巻く時代背景を反映したものが多く、タイトルを眺めているだけで、往時の保険学ならびに保険業の課題が蘇ってきます。

 

   研究対象は、生命保険や損害保険に限らず、年金保険、医療保険などの社会保障、企業年金や従業員福利厚生などの企業保障なども取り上げられており、保険に関わる広い領域が論じられています。また、保険理論、保険経営論、金融理論、戦略論、制度改革論、保険数理論、官民役割論、保険政策論、生活保障論など、実に多様な方法論によって議論が展開されています。

 

   さらに「保険研究」は、学者や実務家のみならず、大学院生や学部学生の研究成果の発表の場として、貴重な存在でありました。中には学会内外から高い評価を得て社会に反響をもたらした論文も少なくありません。私のゼミナールでは、毎年、「保険研究」に発表することを最終目標として、日頃より研鑽を積んでいます。

 

   今回の総目次作成を通じて、慶應義塾保険学会の存在意義を広く社会に知らしめるために「保険研究」が果たしてきた重要な役割を再認識できました。これからも「保険研究」の発行を通じて問題提起と積極的な政策提言を発信してまいりたいと思います。

 

   本年も、慶應義塾保険学会へのご理解ご協力をよろしくお願いいたします。

 

 

(総目次は作成部数に限りがあるために、学会の皆さん全員にお配りできませんが、多少の残部がありますので、もしご希望の方がおいででしたら、学会事務局にお申し出ください。)

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