慶応義塾大学出版会
税込価格 3,780円(本体3,600円+税)
発行年月 2008年11月 判型 A5 ISBN ISBN:
9784766415612
経営、金融、法律など業界の最新動向を凝縮。
▼ 広く経営、金融、会計、法律、社会保障など隣接領域の研究者が集い、今日の生損保業界におけるホットイシューを取り上げて最新の動向を紹介・分析し、戦略 的提言を行う。保険学の最前線へと切り込む意欲的論集であるとともに、保険業界の最新動向を一望できる、業界人必読の1冊である。 慶應義塾保険学会叢書第3巻
目次
序章 『保険学のフロンティア』解題 石田重森
第 1章 経済俯仰――その社会学的基盤に立って 庭田範秋
1 経済学の流れの中に
2 資本主義の黎明と経済思想
3 新時代の新学理の登場と相剋
4 “ケインズ革命”と呼ばれる由縁
5 近代経済学と呼ばれるものは,そのまま“現代経済学”に突入,結晶と成っていく
6 近代経済学≒現代経済学の諸学者の主張
7 わが国の経済学者とその主張
8 新しい学問の登場と発展,有能性と発効力
第2章 保険をめぐる共同体と相互扶助 岡村国和
1 ポランニーの「埋め込み理論(embeddedness)」
2 共同体内における個人と相互扶助
3 保険のルーツと相互扶助
4 現代社会保険と相互扶助
第3章 保険の仕組みと保険の定義――保険集団の存在を前提とした所説の再検討をとおして 米山高生
1 はじめに
2 「保険とは何か」を判別する試み――古瀬説と吉澤説の検討
3 保険集団の存在を前提にした「保険の仕組み」の検討
4 リスク移転を手段として理解する「保険の仕組み」の理論的根拠
5 社会的な観点からみたリスク軽減の手法
6 小括――保険集団を前提としない「保険の仕組み」と新保険法における保険の意義規定
第4章 保険業のCSR(企業の社会的責任)と現代的課題 堀田一吉
1 はじめに――CSRへの関心の高まりと社会的背景
2 ステークホルダーの多様性とCSR
3 企業戦略としてのCSR
4 環境問題と保険業
5 保険業におけるCSRの課題
6 おわりに
第5章 保険業のブランド・エクイティ 藤田楯彦
1 保険ブランドの重要性
2 保険産業のブランド力
3 長期的経営視点の保険産業の課題
第6章 保険企業によるモラルハザードとその対応――なぜ保険金不払い問題は全社的に発生したか 田畑康人
1 はじめに
2 問題の視点
3 不払い問題の特徴――全社的に発生した不払い問題
4 保険業界の不払い問題への認識と対応
5 経済学的にみた不払い問題とその対応
6 保険の第一原則の再確認――保険の第一原則は「収支相等の原則」か
7 おわりに――保険は誰のために存在するのか
第 7章 投資意思決定における保険契約の役割 石田成則
1 問題意識
2 投資意思決定をめぐる利害対立の様相
3 保険契約が投資意思決定に及ぼす影響――保険と資金調達の相互依存性
4 考察のまとめと今後の課題
第8章 再保険サイドカーの意義 吉澤卓哉
1 保険リスクの新しい移転手法
2 サイドカー取引の長所
3 サイドカー取引の短所
4 再保険サイドカーの本質
第9章 バーゼルⅡとソルベンシーⅡ――金融・保険の融合と資本要件規制 永田 裕司
1 はじめに
2 資本要件規制の意義と課題
3 銀行業におけるバーゼルⅡへの移行
4 EUソルベンシーⅡの動向
5 おわりに
第 10章 日本版コーポレート・ガバナンスの課題と今後 藤本三喜男
1 はじめに
2 会社財産に対する株主と債権者の利害対立とその調整
3 企業統治メカニズムとは何か
4 外部ガバナンス
5 おわりに
第11章 生命保険契約の保険金受取人変更権に対する制限 肥塚肇雄
1 はじめに
2 生命保険契約の保険金受取人変更権の法的性質
3 実務上の取扱い問題点
4 保険法の見直しに関する要綱案との関係
5 結びにかえて
第12章 傷害保険における外来性要件と疾病免責条項 佐野誠
1 はじめに
2 最高裁判例の内容
3 最高裁判例の判断枠組み
4 因果関係
5 最高裁判例理論の評価
6 おわりに
第13章 訴訟からみた製造物責任法の課題と損害保険の役割 大羽 宏一
1 はじめに
2 訴訟一覧の観察結果
3 これから法律をどのように変えていくべきか
4 賠償責任保険の役割
5 製品のリコールと保険
6 まとめ
第14章 アメリカにおける近年の医療保険改革 中浜 隆
1 はじめに
2 州児童医療保険の創設
3 メディケアの改革
4 おわりに
第15章 アメリカ労使関係の形成と生命保険会社
―― ウェルフェア・キャピタリズムの再評価に関連して 中川誠士
1 はじめに
2 アメリカ型福祉国家システムにおける医療保険制度
3 労使関係のアメリカ的特徴
4 ウェルフェア・キャピタリズムと生命保険会社
5 おわりに