慶応義塾大学出版会
税込価格 3,150円(本体3,000円+税)
発行年月 2006年5月 判型 A5 ISBN 9784766412307
慶應義塾保険学会叢書の第1巻。同学会は近代保険制度の紹介者・福沢諭吉ゆかりの慶應義塾を拠点に研究者・実務家が集い、理論と実践の研究を行っている。
制度派経済学、進化経済学などの知見を吸収し、「進化」をキーワードに日本社会の変容とその中における保険事業の役割、そして今後の課題を明らかにする野心的研究。
人口減少、保険自由化、規制緩和、経済・金融のグローバル化など著しい社会変化に適応し、社会に役立つ存在であり続けるためには、保険業はどのような進化 を遂げなければならないのか。コーポレート・ガバナンス、マーケティング、FP教育、IT戦略、遺伝子検査の利用など、多彩な論点について具体的な対応策 を提示する。
第1部 現代社会と保険進化
第1章 社会経済の発展・変容と保険進化 堀田一吉
1 進化経済学と保険進化
2 資本主義経済の発展と保険制度
3 「保険進化」の多義性と諸要因
4 現代保険を取り巻く環境変化と保険進化に向けての課題
第2章 保険進化と保険統合商品 大橋敏男
1 はじめに
2 保険商品の現在までの進化
3 現在の保険の表現――保険統合商品
4 環境の変化と保険商品の進化の動向
5 おわりに
第3章 民間企業における退職金・年金制度の系譜と行方 竹内保彦
1 退職金・企業年金制度の生成と発展
2 制度の現状と問題の所在
3 退職金・年金制度をめぐる最近の動向
4 退職金・年金制度の行方
第4章 保険における官民の役割分担をめぐる一考察 宮地朋果
――危険選択における遺伝子検査結果利用に関する議論をもとに
1 はじめに――問題の所在
2 遺伝子検査と生命保険業をめぐる現況
3 遺伝子検査と危険選択
4 遺伝子検査結果利用のための前提条件
5 遺伝子検査と官民役割分担論
6 むすびにかえて
第2部 現代保険経営と保険進化
第5章 販売チャネル改革と保険経営 鹿島純一
1 はじめに
2 生命保険経営の沿革
3 生命保険業の役割と機能
4 生命保険経営の現状と課題
5 生命保険業の将来の可能性
6 おわりに
第6章 FP教育と生命保険事業 可児俊信
1 はじめに
2 環境変化の生命保険会社への影響
3 FPの普及
4 生命保険会社へのFPの普及
5 生命保険業界とFP
6 FPが生命保険販売に与える影響
7 生命保険業界とFPの今後
第7章 高度情報社会と保険企業のIT戦略 山越実
――マルチチャネル時代における顧客接点の考え方
1 はじめに
2 ITトレンドと産業構造の変革
3 保険企業の新たな潮流
4 顧客接点のIT戦略
5 保険経営におけるIT戦略実現に向けた考慮点
6 おわりに
第8章 生命保険相互会社における進化的コーポレート・ガバナンスについて 岡村国和
1 進化理論と企業進化
2 環境変化と相互理念の変容
3 相互会社のコーポレート・ガバナンス
4 進化的コーポレート・ガバナンスに向けて
第3部 現代リスク管理と保険進化
第9章 海外プロジェクトのリスク・ファイナンスと金融機関の役割 石田成則
1 資本市場の構造変革と企業・事業の資金調達
2 プロジェクト・ファイナンスの理論的基礎
3 プロジェクト・ファイナンスの新展開
4 証券化の手法とリスク・ファイナンスの変革
第10章 保険業における数理技術の発展 田口茂
1 はじめに
2 保険業における数理技術の発展
3 さらなる環境変化:グローバル化
4 数理技術の進化
5 今後の課題
第11章 保険市場と資本市場の融合と企業リスクマネジメント 後藤和廣
1 はじめに
2 企業におけるリスク・ファイナンシングの実例
3 企業価値の維持・増大とリスク・マネジメント
4 保険と金融の融合
5 「保険と金融の融合」の背景的理論
6 統合的リスク・ファイナンシング実施にあたっての留意点
7 おわりに
第12章 保険事業のグローバル化と規制・監督の国際基準 五味正夫
1 はじめに
2 保険事業のグローバル化
3 保険規制・監督の意義とグローバル化対応
4 IAIS(保険監督者国際機構)の規制・監督基準
5 国際基準の課題
6 むすびにかえて