慶応義塾大学出版会
A5判/上製/248頁
初版年月日:2015/03/30
ISBN:
978-4-7664-2198-9
(4-7664-2198-1)
Cコード:C3333
税込価格:3,240円
高齢者の交通事故と補償問題
目次
はしがき 堀田 一吉・山野 嘉朗
第1章 高齢社会と交通事故 江澤 雅彦
1 はじめに
2 高齢社会の現状と将来
(1) 現状
(2) 将来推計人口で見る今後のトレンド
3 高齢化の要因
(1) 高齢者の数の増加=死亡率の低下に伴う平均寿命の延伸
(2) 少子化の進行による若年人口の減少
4 高齢社会における交通事故
(1) わが国の交通事故の推移と高齢者の被害
(2) 直近の状況
5 高齢者をめぐる交通事故対策
(1) 高齢歩行者および高齢自転車乗用者の事故防止対策
(2) 高齢自動車運転者の事故防止対策
(3) コンパクトシティーの取り組み
6 むすびにかえて ―― 次章以下の紹介
第2章 高齢者の自動車事故の特徴 大坪 護
1 はじめに
2 高齢者と交通事故
(1) 高齢者の特性
(2) 被害者としての高齢者
(3) 加害者としての高齢者
3 高齢者の交通事故と自動車保険
(1) 自賠責保険
(2) 任意自動車保険
4 高齢者の被害事故と損害保険
(1) データに基づく事故実態
(2) 高齢被害事故への補償
5 高齢者の加害事故と損害保険
(1) 急増する高齢者加害事故
(2) 高齢者加害事故の実態
6 高齢者事故と自動車保険の課題
第3章 高齢者の交通事故をめぐる対策と課題 北村 憲康
1 はじめに
2 高齢者の交通事故の実態
3 高齢ドライバーの事故の特徴
(1) 高齢ドライバーの事故のパターン
(2) 高齢ドライバーの事故原因
4 高齢歩行者の事故の特徴
5 最近の交通安全対策の現状と課題
(1) 現状
(2) 課題
6 高齢ドライバーと安全教育
(1) 高齢ドライバーのリスク実態を示す実験
(2) 高齢ドライバー教育の考え方
(3) 高齢ドライバー教育の事例
7 高齢歩行者と安全教育
(1) 高齢歩行者教育の考え方
(2) 高齢歩行者教育の事例
8 高齢者安全教育の共通課題
9 今後の課題
第4章 高齢者の交通事故と賠償法理
―― 損害賠償の基礎理論および社会保険との調整 加瀬 幸喜
1 はじめに
2 不法行為責任の成立
(1) 一般的な不法行為責任
(2) 自動車事故による不法行為責任
3 人身損害額の算定
(1) 損害の意義
(2) 損害賠償の範囲
(3) 個別損害項目積上げ方式
(4) 賠償額の減額事由
4 公的年金受給権の逸失利益性
(1) 年金制度の概要
(2) 逸失利益性に関する学説の対立
(3) 最高裁判例
(4) 生活費控除
(5) 年金給付と損害賠償の調整
5 高齢者の死亡慰謝料
(1) 死亡慰謝料基準
(2) 死亡慰謝料額の実態
(3) 慰謝料の補完的機能
6 健康保険・介護保険と損害賠償との調整
(1) 健康保険との調整
(2) 介護保険との調整
(3) 制度論的な検討
7 むすびにかえて
第5章 高齢者の交通事故と自動車保険
―― 任意自動車保険の現代的課題 竹井 直樹
1 はじめに
2 損害保険業界から見た交通事故の現状
3 自動車保険の商品概要
4 自動車保険の位置づけ
5 自動車保険マーケットと契約構造
(1) 損害保険の市場概要
(2) 自動車保険の収支状況
6 自動車保険の保険金支払状況
7 最近の料率改定の動向と高齢者問題
(1) 年齢別料率区分の導入
(2) 等級制度の改定
(3) 年齢別料率区分の格差の見直し
8 高齢者と料率体系のあり方
(1) 年齢別料率区分の導入
(2) 高齢ドライバーのアフォーダビリティ問題
(3) テレマティクス自動車保険
9 おわりに
第6章 高齢者の交通事故と過失相殺・素因減額
―― 自賠責保険制度を踏まえて 甘利 公人
1 自賠責保険の概要
(1) 自賠責保険の創設
(2) 損害額の算定
(3) 重過失減額
2 過失相殺
(1) 過失相殺の意義
(2) 自賠責保険実務における過失相殺
(3) 被害者が幼児の場合の過失相殺
(4) 最近の裁判例の傾向
3 高齢者の素因減額
(1) 素因の意義:判例法理
(2) 判例法理の検討
(3) 高齢者の事例
4 交通事故と高齢者の認知症
(1) 交通事故と認知症との因果関係
(2) 後遺障害と認知症
5 結語
第7章 高齢被害者の補償と過失相殺のあり方
―― フランスの法制度を参考に 山野 嘉朗
1 問題の所在
(1) 交通事故と過失相殺
(2) 高齢被害者と過失相殺
2 過失相殺と保険実務
(1) 保険実務
(2) 判タ基準
3 高齢被害者に対する過失相殺適用の現状
(1) 近時の裁判例(平成20年以降)
(2) 裁判例の分析
4 フランス交通事故法(1985年7月5日法)と過失相殺
(1) 立法趣旨
(2) 基本構造
(3) 交通事故法の保護を受ける人身事故被害者
(4) フランスにおける交通事故法の今日的評価
5 高齢者に対する過失相殺制度のあり方
(1) 公平概念の再検討
(2) 高齢被害者に対する実務改善または立法措置の必要性の是非
第8章 高齢者の交通事故予防と保険料割引制度
―― アメリカの諸制度を参考に 福田 弥夫
1 はじめに
2 アメリカにおける高齢者と交通事故の実態
(1) アメリカの交通事故実態
(2) アメリカの高齢者の増加と交通事故の予測
(3) アメリカの高齢者の事故実態
3 アメリカの自動車保険制度と高齢者
(1) アメリカの自動車保険制度
(2) アメリカにおける自動車保険料の高齢者割引制度の概要
(3) 各州における高齢者に対する保険料割引の規定
4 高齢者の運転免許更新と交通事故予防講習
(1) 高齢者の運転免許更新制度
(2) 高齢者を対象とした交通事故予防講習
5 ミシガン州の新たな動き
(1) ミシガン州のノーフォルト保険
(2) ミシガン州の法案HB4959
6 今後の日本の方向性 ―― むすびにかえて
第9章 高齢者の交通事故と高齢者福祉 堀田 一吉
1 はじめに
2 高齢者の行動特性と交通事故
(1) 高齢者の交通事故と素因
(2) 高齢者の交通事故と認識問題
3 人身損害補償システムと保険制度
(1) 交通事故における抑止と補償
(2) 自動車保険における補償と救済
(3) 人身損害補償システムにおける自動車保険の役割
(4) 保険の社会化と補償システム
4 高齢社会の進行と保険業への影響
(1) 高齢社会の進行と保険コストの増大
(2) 事故費用と保険料負担
(3) 保険会社の経営戦略と高齢者対応
5 高齢者福祉と補償対策
(1) 高齢者福祉と交通政策の関係性
(2) 高齢者の交通事故対策と交通政策
(3) 高齢者福祉と交通政策
6 おわりに
索引